ココロの架け橋 中野敏治
彼女の家は、茶畑をたくさん持っていました。
お茶の専業農家だったのです。
彼女の日記には「雨が降ってほしい。雨が降ればお父さんもお母さんも仕事を休めるから。毎日、お父さんもお母さんも朝から茶摘みに行って、夕方まで帰って来られない。工場へはおにぎりを持って、1日中行っている。深夜に帰ってくることもある。寝る時間もほとんどないみたい。私より遅く寝て、私より早く起きている。雨が降れば、少しでも体が休められるのに・・」と書いてありました。
彼女は自分ができることを考え、部活動を休んで親の仕事を手伝っていたのです。
彼女は1~2年生のとき、顧問の私や友達に一言も言わずに、部活動を休んで親の手伝いをしていたのです。
なぜ話してくれなかったのか、彼女に聞きました。
彼女は「もし、私が友達や先生に話したら、私が畑仕事を手伝うために部活動を休んでいることが親に分かると思うし、親がそれを知れば、無理しても私に仕事を手伝わせないと思うから・・・」という返事が返ってきました。
親は子に「親に気を使うことはないんだよ・・」と思っていながらも、子は親のことを考え、親のために何かをしたいと思うものです。
親の一生懸命な姿が、子をそうさせるのです。