誤嚥性肺炎

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

山北さん(94歳 女性 ペースメーカー装着)の娘さんが相談外来に来ました。
「先生、誤嚥性肺炎で入院した母が家に帰りたいと言っています。誤嚥性肺炎は治ったのですが、入院が長引いたので寝たきりになりそうなんです。母は一人暮らしなのですが大丈夫でしょうか?」
「うん、大丈夫だと思うよ」

翌日退院した山北さんは、すぐにデイサービスへ通い始めます。
おしゃべりが大好きな山北さんは、週4回のデイサービス、1日1回の訪問介護、週に1回の訪問看護、月に2回の訪問診療で毎日誰かと話ができてうれしそうです。
ところが退院から2か月が経った頃、また誤嚥性肺炎になった山北さんは、「もう入院はしたくない、家にいたい」と希望しました。

誤嚥性肺炎になると、病院では基本的に抗生物質だけを使います。
抗生物質は唾液の中の細菌には有効ですが、異物による炎症までは治りません。
炎症を抑えるのに効果的な副腎皮質ホルモンは、長く使うと免疫力を低下させます。
入院中の患者さんは、元々これを使っている場合が多いので使用を控えます。
ところが小笠原内科の在宅ホスピス緩和ケアなら1週間で治ります。
なぜなら、異物による炎症が生じたときから、抗生物質と副腎皮質ホルモンのソル・メドロールを併用するからです。