認知症患者さんを支えるには

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

認知症患者さんを支える家族は大変だと思います。
でも、疲れないことが一番大切です。
だから私は、ご家族に対して、いつもこのように話しています。
「認知症患者さんはトラブルを起こしたり被害妄想があったり、ご家族はとても疲れますよね。怒りたくなる時もあるでしょう。でも、患者さん本人は悪いことをしているつもりがないので、なぜ怒られているかが分からないんですよ。なぜかというと、患者さんは急速に老化しているからです。赤ちゃんのように食べられないものを口に入れてしまったり、幼稚園児みたいにいたずらな部分もあれば、大人として散歩できる(徘徊)部分もある。まだらボケなんですね。ご家族は、患者さんの大人の部分を見てしまうと、なかなかあきらめがつかない。だから怒ってしまうし、家族だからこそ一生懸命になるのだけれども、心のゆとりをもって支えることが大切ですよ。疲れる前に迷わず、看護師やヘルパーに任せましょう。癒しを提供する者は、自らが癒されなくてはならないのですよ」

認知症でも意思はあります。
認知症だからと言ってすべてを忘れてしまうわけではありません。
なっちゃんのように、大切な人や会いたい人のことは心に刻まれているのではないでしょうか。