近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
手術、抗がん剤、放射線という三大治療は受けないとしても「食事療法や漢方ならいいんじゃないですか?」と聞く患者さんがいます。
「西洋医学がだめでも、東洋医学ならいいのではないかと思うのかもしれませんし、がんを局所的に治そうとするからいけないのであって、体全体を治せばいいと思うのかもしれません。
現に、筑紫哲也さんはそのように語っています。
しかし僕は、”なんとか療法”と名のついているものは、全部だめですと答えます。
食事療法、特に採食主義が体の抵抗力を奪ってしまうことは述べましたが、食事に関してもしできることがあるとすれば体重を維持することです。
以前、メシマコブとアガリスクという2つの健康食品ががんに効くと大評判になったことがありましたが、「がんが消えた」とか「余命が伸びた」といったエピソードの全部が捏造でした。
では漢方ならよいのではないか、と思う人もいるでしょう。
ところがツムラ順天堂の薬理研究所所長を務めた細谷英吉さんの著書「漢方の医学」(講談社)には、「がんを治す漢方薬はない」とはっきり書かれています。
がんだと言われると「早く治療しなくては」「とにかく治さなくては」と焦ってしまうものですが、焦っていい結果になることはありません。
焦ると、医者や怪しげな業者に付け込まれてしまいます。