ココロの架け橋 中野敏治
普段の生活から落ち着きのない生徒がいました。
友達と小さなトラブルを繰り返し起こしていました。
そのたびに声尾をかけ、注意をしてきました。
ある日の放課後、職員室にいる私の耳に、教室の方から大きな音が聞こえてきました。
あわてて教室に向かうと、天井についている蛍光灯が数本割れていたのです。
彼にケガがないことを確認して、相談室に彼を呼び「教室で何をしていたのか」「どうして蛍光灯が割れるようなことをしていたのか」「今どんな気持ちなのか」など、いろいろと彼と話しをしました。
彼は誰もいない教室で、1人でほうきを振り回していたというのです。
まさか天井の蛍光灯が割れるとは思わなかったというのです。
彼には悪気がなかったのですが、今までの生活の落ち着きのなさから周りが見えていないのだと感じました。
それから数カ月後の放課後、外の渡り廊下のところにかけてあった木が燃えていると、部活動をしていた生徒が走って職員室に教えに来てくれました。
現場に駆けつけると、渡り廊下の1本の柱に焦げた跡がありました。
体育館の影からその場を見ていたのは彼でした。
まさかと思いながら、彼に聞いてみました。
「誰かが燃やしたみたいだけど、知らないかな?」無口になった彼の様子から、すべてが分かった気がしました。
「二人だけで話そう」と彼を相談室に呼び、今回は保護者に連絡を取り、彼と一緒に話しをすることにしました。