苦しみを乗り越えて穏やかさを取り戻す

ホスピス医の著書から

病気やケガなどにより、身体の痛みに苛まれるという苦しみがあります。
自分の足で歩き、自分の口で食べたいのに、身体の自由がきかないという苦しみがあります。
やりたいことがたくさんあるのに、残された時間が少ないという苦しみがあります。
希望と現実のギャップが大きいほど、苦しみも大きくなるのです。

世の中には、解決したり乗り越えたりすることができる苦しみと、そうでない苦しみがあります。
自分で解決できない苦しみについては、その事実を認め、受け入れてみましょう。
その上で、苦しみを抱えながら穏やかに生きるにはどうしたらよいかを考えたとき、自分にとって大切な存在に気づくことができるはずです。

これは、最期の時が近づいているという究極の苦しみに直面する中で、穏やかさを手に入れた数多くの患者さんを診てきた私の実感です。