若い子の夢は人のため

ココロの架け橋 中野敏治

毎年、夏休みになると校長としてたくさんの生徒と面接をしています。
昼食の1時間以外は、ずっと生徒たちと面接をします。
よく「今の若い人は夢がない」と言われています。
私もそう思っていた時期がありました。
でも、生徒たちと向かい合って話しをすると、8割以上の生徒が、自分の夢を具体的に持っています。
そして、その夢は単なる憧れではなく、その夢を叶えたい具体的な理由もちゃんとあるのです。

「私、将来弁護士になりたい」という生徒がいました。
「どうして?」と聞くと「えん罪というのを小学校の頃に知って、その人の人生を考えると、私、弁護士になって、何が本当なのかをちゃんとしたい。えん罪を知っているから弁護士になりたいと思ったの。だから、しっかり勉強をしようと思っている」というのです。

「美容師になりたいんだ」という生徒。
「どうしてなの?」と聞くと、「みんなをきれいにして、喜んだ顔が見たい。美容師になって、たくさんの笑顔が見たい」とニコニコしながら、答えてくれます。

「私、看護師になりたいの。おじいちゃんが入院したとき、とってもやさしく、いつもニコニコしていて、本当におじいちゃん安心して入院していたよ。だから、私も患者さんが喜んでくれるように看病したいの」とうれしそうに話す生徒。
「看護師は夜勤もあるし、大変だよ」と言葉を返すと、「だからこそ、やりがいあるよ」と答えるのです。

今の生徒たちに共通していることがありました。
それは、自分のためではなく、みんなが喜んでくれる仕事がしたい、人のためになる仕事がしたい、そう思っている生徒が多いということです。