苦しみのない人生はない 幸せはすぐ隣にある 小澤竹俊
私は、いのちが限られた患者さんとその家族の苦しみに永年携わってきました。
もっと元気に仕事をしたかった。
もっと長生きをして、子どもたちの成長を見守りたかった。
しかし、こんな病気になってしまい、もう長く生きることができない。
なんで、私だけがこんなに苦しむのだろう?
家族に迷惑をかけるばかりでつらい。
こんなにつらいのなら、いっそのこと早くお迎えが来ないだろうか・・・
人は苦しみが大きいとき、自分のことを認めることができなくなります。
特に家族や友人や、他の誰かに迷惑をかけることを嫌います。
この苦しんでいる人に、医療者が分かりやすく苦しみの原因を説明しても、あるいは、親しい友人が頑張れと心から励ましても、笑顔にはなりません。
かえって、「あなたには私の気持ちが分かってもらえない」と、苦しむ人は心を閉ざしてしまうのです。
役に立たない自分、何もできない自分。
そんな自分を認めることなど、はたしてできるのでしょうか。
答えは「イエス」です。