ガンになった緩和ケア医が語る 関本剛
2019年10月にステージ4の肺がんと診断された後、私は2カ月に1度、CT撮影、MRI検査を受け、治療方針を確認している。
2020年2月の検査では脳幹巣の輪郭が以前よりはっきりしている感があり、そうなる可 能性を覚悟したとはいえ、かなりショックだった。
その後も、首から下の部分、つまり肺ガンの原発巣やリンパ節転移については分子標的治療の奏功もあって、幸い症状は落ちついているが、問題の脳の転移巣については、増悪する前に抗ガン剤治療へ移行することを主治医の先生から提案され、7月より殺細胞性抗がん剤と分子標的治療薬の点滴投与を受けることになった。
イメージで言えば、今のままでは首から下は制御できても、脳転移が大きくなったり播種性に広がってしまう可能性が高いので、少しでも脳転移に効く可能性のある方法に変えようというわけである。
ただし、殺細胞抗がん剤は体に負担がかかる。
私の希望は、1日でも長く生きるということではなく、脳神経症状が出現して生活に支障をきたす時期をできるだけ遅らせる、つまり自分らしく過ごせる時間の確保であったため、脳転移巣がさらに大きくなって症状が出てから抗がん剤に切り替えるのではなく、そのような兆候があれば少しでも早く次の手を打つ治療方針の方がありがたかった。