自分の物差しを人に当てはめないこと

人生を楽しむ 小林正観

朝9時に始まる会社があります。
ある従業員が30分遅れて9時半になってやって来ました。
皆さんが社長さんだったら怒るでしょうか。

実はその社員は、前夜に親が突然倒れて救急車で病院に運びました。
それに付き添って入院させ朝に帰ってきて、夫や子供に食事や弁当を作りました。
そして自分は全然寝ていない状態で、息を切らせながらやっと会社に出られたのが9時半だったのです。
そうしてみると、遅れてきたことがいけないとは決められないのではないでしょうか。
もし事情を聞いてから、怒るかどうかを決めるのだったら、ではその人が事情を話さなかったらどうするのでしょう。
私たちには相手の事情や悲しみなど、いろいろなことが分かっていません。
ですから、自分が正しいか正しくないかという基準に怒るのはやめようと思うのです。

自分が正しい正しくないと思うこと自体は変えなくてもいいですから、それは自分だけの生き方に当てはめる。
そして、他の人にその物差しを当てはめないことでしょう。
自分の価値観や物差しを、人に対して「こうあるべきだ」と、まるで自分の言葉、自分の考えを正しい物差しのように言って、相手をさばいたりするのはやめた方がいいように思います。

要は「私」がどう生きるかだけです。
「私」が正しいと思う、その信念はあくまでも自分を律するという意味で実践していってはどうでしょう。