死ぬときに幸福な人より
60代男性の患者さんは、末期ガンで余命半年と宣告されており、こんな状態で生きていても仕方がない、家族に迷惑をかけたり、みっともない姿を見せたくないと考えていたのです。
しかし、在宅チームのスタッフとコミュニケーションを取っているうちに、少しずつ気持ちが変わっていったのでしょう。
彼は、「病気になって初めて人の弱さを知り、人のありがたさ、やさしさが分かるようになりました」と口にするようになり、やがて苦しみの中で気づいた家庭の大切さ、人のやさしさについて文章に書き残し、若い人に伝えたいと考えるようになりました。
たとえ、残された時間が少なくても、また身体の自由がきかなくても、できることがあるということに気づいたのです。