自分で納得できるまで調べてみる

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

まず、挨拶もしない、患者さんの顔を見ない、こういう医者もダメ。
診察の間中、ずっとパソコンの画面を見たままで、質問しても振り向きもしないし、ろくに答えてもくれなかったと、こういう医者が多いんです。
多くの患者さんにとって、がんを宣告されるのは初めてであり、分からないことだらけなのですから質問するのは当たり前です。
中にはまったく質問せず、「お任せします」と言う人もいますが、これはよくありません。
どんな些細なことでも、気になることは全部聞いておくべきです。
医者には、患者さんの質問に答える義務があるのです。
それなのに、質問をうるさがったり、患者さんを見下したりするのは、権威主義的で性格が悪い証拠だから、その医者はやめなさい。

自分のやりたい治療に患者さんを誘導するのは、これはもう全員がそうだと言ってもいい。
外科医は手術を、抗がん剤専門医は抗がん剤治療をしたがるものなのです。
だから、かかった医者が外科医なら「手術に誘導する気だな」と、あらかじめ予測しながら話を聞くことです。
そして、治療方法をすぐに決めないこと。
医者の言ったことを自分なりに調べてみて、納得できなければ「ノー」と言っていいのです。