肉体の構成成分は次の世代に使われる

「死に方」は「生き方」 中村仁一

死後の世界はあるのかないのかは、議論の対象にならない問題だと思います。
あの世から戻ってきて、帰朝報告をしてくれた人は1人もいないからです。
臨死体験も、あくまで此岸の問題であって、彼岸のことではありません。
ただ、あの世があることによって気が休まるなら、そう受け取ればいいのです。

お釈迦様は、あの世はあるかないか分からないから、分からないことは考えるなと言っています。

私たちは、自然から様々な恵みを頂いて生きてきたわけですから、死ねば1日も早くすべて自然にお返しして、生きとし生けるものには食料を、無生物には原材料を提供すべきではないかと思うのです。
肉体の構成成分の大半は水蒸気や煙になって大空に拡散しますし、土葬でも徐々に溶け出して世界中を巡るのです。
私たちは、毎日、ご先祖様を食べてきたわけですから、死んで後の世の人たちのために、食料を提供しなければならないのです。