老いとはいいものだ・・・

「死に方」は「生き方」 中村仁一

老人には、弱い、衰えた、不健康な、寝たきり、痴ほう、役立たずな存在などという、暗くて否定的なマイナスイメージがつきまといがちです。
しかし、誰もが嫌がっているその年寄りに、やがて誰もがならなくてはなりません。
「年寄り嫌うな、行く道じゃ」です。

老いとは、本当にそんなにマイナス面ばかりなのでしょうか。
まずローンの支払や子育てからの解放があります。
それまでは生活のため、家族のために、嫌なことでも耐え忍ばなければならない場面が多々ありましたが、もうその必要はないのです。
また自由で豊富な時間を自己実現のために使えることです。
つまり、自分の好きなこと、新しい可能性のあることに、誰に気兼ねをすることもなく思う存分、ふんだんに時間を投入できるのです。
さらに、内面的な成熟の時期、人生の収穫期を迎え、それまで気づかなかったことに気づき、見えなかったものが見え、人生の深みが味わえるようになる、刈り入れの季節だということです。

定年後も、働くのが好きなら働いたらいいと思います。
ただし、定年前と違って、嫌なものを我慢する必要はなく、断る事由があるわけですから、今までに自分が培った知識、経験、人脈を生かして、好きな仕事だけを選んで、楽しんでやればいいのです。