終わりを意識するとその時間を最大限に活用するようになる

ゼロで死ぬ ビルパーキンス

大学1年生を被験者にした心理学の実験があります。
一方のグルーの学生には、30日後にキャンパスから遠く離れた場所に引っ越すことを想像させ、今後の30日間の行動を計画させました。
つまり、学生たちにとってこの時期は、大学生活を通じて出会った人に会いに行ったり、気に入った場所を日常的に訪れる最後のチャンスになります。
この30日間、1週間ごとに学生たちはその週の自分の行動を記録しました。
30日後に引っ越すことを想像したグループの学生は、そうでない学生に比べ幸福度が上がっていました。
特別な何かをするにせよ、いつもと同じことをより楽しもうとするにせよ、残された時間が少ないと想像するだけで、学生たちは充実した時間を過ごせたのです。

この実験から学べるのは、人は終わりを意識するとその時間を最大限に活用しようとする意欲が高まるということです。
見知らぬ土地を観光するとき、私たちはこれと同じような体験をします。
滞在期間が1週間だとしたら、最終日までの間にできるだけたくさんの名所を訪れ、ツアーやアクティブにも積極的に参加しようとします。
だが、自宅にいる時はそんな風に行動はしません。
私たちは地元の博物館や映画館にはいつでも行けると思っているし、友人ともいつでも会えると思っています。
その結果、夜は自宅でテレビを見て過ごし、終末も特に何をするわけでもなく無駄にしてしまうのです。