生物に便利さはいりません

いのちを愛ずる 中村桂子

生き物の本質を見つめていこうとすると、本当に生き物の素晴らしさが見えてきます。
ここで大事なのは、時間をかけるということです。
最初に便利さのお話をしたように、今の時代は時間をかけることを避けます。
けれども、時間をかけたら本当の美しさが見えてくるのです。

そう考えたときに、私は赤ちゃんのかわいらしさを思いました。
赤ちゃんは泣いてほしくないときに泣いたり、それこそ思い通りになりません。
無条件にかわいいものではありませんよね。
それでも、時間をかけてお乳をのませながらじっと見ていると、やはり「かわいいな」という気持ちが湧いてきます。
これが愛ずるだと思うのです。