生涯楽習

老いの花道 河合隼雄

孔子の書いた論語の中に、学ぶことは大事だけれど、学んでいる人よりも好きでやっている人の方が上で、好きでやっている人よりも楽しんでやっている人の方が上という言葉があります。
この楽しむということを、みんながもっと考えたらいいと思います。
私は生涯学習ではなく生涯楽習にした方がいいのではないか、もっと楽しみながらできるのではないかと思うのです。

ある高齢者のお話です。
その方は本当に良く働いた方で、年金や蓄えもあり、ぶらぶらと暮らしておりました。
それを見てお嫁さんが、「何か楽しい趣味を見つけられたらどうですか」と言います。
息子さんも「もっと積極的に楽しまなきゃあかん、ぶらぶらして!」と怒ります。
でもその高齢者の言い分を聞いて、私はなるほどと思いました。
「息子も嫁も楽しめと言うけれど、私はこれまで一生懸命働いてきたから、ぶらぶらするのが楽しんや」

私たちが「高齢者の楽しみ」というときには多様性や個人差を考える必要があるのですね。