「死に方」は「生き方」 中村仁一
長寿社会の今日では、病気の中心は従来の細菌やウイルスなどの微生物が身体に侵入して起きる、赤痢、肺炎、結核などの感染症、いわゆる「うつる病気」から、体質、素質に長年の悪い生活習慣病影響が、いわば澱のようにたまって発症してくる高血圧や糖尿病などの生活習慣病という「うつらない病気」に移ってきました。
生活習慣病は感染症のように、病原微生物が外からやってきて、私たちの身体がそれに負けたときに発症する「外からの病気」ではなく、その人の体質、素質が絡んでいるわけですから、いわば「内からの病気」と言えると思います。
内から出るということになりますと、これを叩き潰したり、追い払ったり、完全に縁を切ることはおよそ不可能であり、完治や根治は難しいということになります。
つまり、治らないのです。
若いときからの生活習慣が原因で年を取ってから発症してくる病気をひっくるめて生活習慣病と呼びます。
しかし、生活習慣病は、悪い生活習慣だけが原因ではありません。
各自が持っている体質、素質に環境が加わって出てきたものなのです。
つまり、なりやすい体質、素質を持った人が、食べすぎ、飲み過ぎや、塩分、動物性脂肪の取りすぎ、あるいは運動不足という悪い生活習慣を積み重ねた結果、40歳を過ぎたころから発症してくるのです。