生前葬

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

一般的に、生前葬は、本人がそれまでにお世話になった人たちを招いて、感謝とお別れをする告別式の前倒しタイプを指します。
しかし、私はもう少し広く「生まれ変わる」「生き直す」という擬死再生の視点から、長寿社会で影の薄れた通過儀礼である「還暦」や「古希」などを、人生の節目としてきちんと認識し直す必要を感じたわけです。

では、具体的に何をするかといいますと、まずこれまでの人生を振り返ってみることです。
人は誰しも、自分の過去を眺めたとき、今自分がこうしてあるのも「あのことがあったから」「あの人と出会ったから」という転機となった出来事が5つや6つは必ずあるはずです。
それを拾い上げ、それらを中心に人生を紡ぎ、それらを替え歌や踊り、寸劇で映像で表現し、親せきや友人や知人を呼んで、パーティーをして楽しもうという傾向です。
パーティーが済んだ後、必ずや、これまでの人生もまんざらではなかったと肯定できること請け合いです。

そして、今大切にしなければならないものは何か、また、今後どのように生きていくべきかも、自然に見えてくるはずです。
この中には、当然やり残していること、死ぬ前にぜひやっておかなくてはいけないことも出てくるでしょう。