生きる指針を持つこと

「死に方」は「生き方」 中村仁一

前にも書いたように、生活習慣病は治らないわけですから、治ったらああしよう、こうしようという考え方は通用しません。
従って、生活習慣病においては、今までと違った病気の受け取り方、考え方をしなければなりません。
病気と共に生きるための哲学がいるのです。

それには「こだわるな」「とらわれるな」「捨てよ」「任せよ」「あるがままを受け入れよ」などと教える仏教思想を、生活の中に生かすことだと思います。
仏教は今を充実して、いかに溌溂として生きるかの手がかりを与えるものです。
多くの日本人の中で、仏教を葬式や先祖の供養の必需品位にしか考えていない人がいますが、そういう人はがんの告知のような人生の難局に遭遇すると、パニック状態に陥ってしまうのです。
生きるための指針を持たないわけですから仕方のないことですが・・・。