生きるための指針

やはり死ぬのはがんでよかった 医師 中村仁一

ガンは、抗がん剤や放射線などの治療をしなければ、ほとんど痛みもなく安らかに逝くことができます。
ガン自体が痛むのではなく、下手に治療をするから痛むのです。
それは、私が自分の目でしかと見てきたから分かるのです。

人間、死ぬような思いをすると、何か心の支えが欲しくなるものです。
宗教にその答えを見つけようと聖書をななめよみしましたが、自分の力で生きてきたと思っている私が、キリスト教の絶対神など信じられるわけがありません。
そこで、今度は仏教書を読み漁りました。
最初は供養だの、葬式だのと言っている仏教が、心のよりどころになるとは思えなかったのですが、仏教の本質は、死んだ人間のためではなく、生きるための指針を説いていることに気づいたのです。
それから、仏教の教えにどんどんのめり込んでいきました。

そして、その教えを日常的に生かすようにしたおかげで、その後の40年間は生きるのが楽になりました。