生きがい療法

生きがいの力 柴田高志

同僚の伊丹仁朗医師が、がん患者さんのための「生きがい療法」を考えて、提唱しました。
これには私自身のガンの闘病体験から得た思いと重なるところがあり、非常に共感できたので「よし、一緒にやろう」と取り組んできました。
この生きがい療法では、患者さんに生活する上での5つの基本方針を持ってもらいます。
1 自分が自分の主治医のつもりでがんと闘う
2 今日1日生きる目標を持ち、それに打ち込む。
3 人のためになることを実践する。
4 死の不安、恐怖と共存する訓練に取り組む。
5 もしもの場合の建設的な準備だけはしておこう

さらに、闘病者の方々が富士山に登ったりする、生きがい療法の実践会をつくりました。
きっかけは、ある山好きの患者さんでした。
その方は世界中の山々に上っていたのですが、ヨーロッパアルプスの最高峰、モンブランだけは登ったことがなかったのです。
それががんになって、もうモンブランに挑戦できないのがつらいと言われたので「いや、そんなことはない、登ろうじゃないの」と言うと、大変感激されました。