甘えられなかった人

10歳までは、しっかり甘えさせる。
そうしたら、いい子に育つ、という言葉があります。
それでは10歳以降はどうかというと、本来この時期は親離れしていく時期なので、それまで十分甘えていれば、次第に甘えなくなっていきます。

ただ、お父さんが不在がちの家庭の場合、母と子の結びつきが非常に強くなります。
それはいい面もたくさんあるのですが、子供が親離れするときには、その強い絆がかえって妨げになることがあります。
子供からその絆を断ち切るのは難しいので、その場合は親からちょっと突き放すことが必要になってきます。

思春期から青年期に向かうにつれて、依存関係は親から友達に、そして異性へと向かっていきます。
その中で子供はさまざまに裏切られ、傷つく体験をしていきます。
そんな時に、帰っていけるのはやはり家であり、親なのです。
子供が本当に助けを求めてきたら、しっかりと受け止めていただきたいのです。

「自分は誰にも甘えずにやってきたんだ!」という人がいます。
そういう人の中には、家族に暴言や暴力を振るったり、子供に八つ当たりしたり、職場で後輩をいじめたりする人がいます。
その人は、いじめるという形でやはり甘えているのです。
自分が甘えられなかったから、お前も甘えるな!という発想は貧しい考えです。
自分は甘えることができなかった。
だけど、お前たちは幸せな時代に生まれてきたのだから、存分に甘えたらいいよ、と言ってほしいのです。