漠然とした老後不安

お金の賢い減らし方 大江英樹

老後のお金がテーマの講演で、参加者の多くは50代くらいの方々ですが、参加者の方に次のような質問をします。
「みなさんは老後は不安ですか?」と言うと、ほとんどの人が手を挙げます。
ところが、「では、みなさん、自分が受け取れる年金額を知っていますか?」そして「毎月の支出をきちんと家計簿につけていますか?」と聞くと、ほとんどの人が反対に手を挙げないのです。

でもこれはおかしな現象です。
なぜなら、老後が不安というからには、実際の収入と支出が分かっているから不安になると考えるのが自然だからです。
「年金はこれくらいもらえる、貯蓄はこれだけある、そして生活費はこれくらいかかる、トータルすると毎月これくらい不足する、ではどうしよう!」と考えるから不安になるのですから。

ところが実際には、年金の額も生活費も把握していないというのですから、これでは漠然とした不安しか残りません。