いい言葉がいい人生をつくる 斎藤茂太
子供のようにぬくぬくした環境で、一生を過ごせる人はそうはいない。
私がそうだ。
東京でも指折りの大きな病院の跡取り息子として生まれ、世間的に言えば、何不自由ない身の上であるはずだった。
だが、震災や戦争に見舞われ、人生は山あり谷ありの波乱万丈だった。
お金の苦労もイヤというほどしてきた。
だが、だからこそ、今私は「自分の人生は面白かった」と言えるのだと思う。
何一つ波風がなかったら、人生は実に味気ないものになってしまうだろう。
もし、あなたが今トラブルの渦中にあり、悩んでいるとしたら、トラブルは人生を発展させるためのチャンスなのだと考えるとよい。
私が旅を愛する理由はたくさんあるが、大きな理由に1つは、旅はさまざまなトラブルに遭遇させてくれるからだ。
順風満帆はそれはそれで楽しい。
だが、不思議なことに、後になってよく思い出すのは、とんでもないアクシデントに見舞われた旅の方なのだ。