パニック障害、僕はこうして脱出した 円広志
パニック障害が回復しだしたのは、薬の相性がよかったからだと思う。
この病気、治りだすと早い。
加速がついたようによくなる。
悪くなる時は、あれもダメ、これもダメ。
日常生活の中に「不自由」という名の敵が増え、包囲の輪が日増しにせまってきた。
だだ、よくなり出すと、自由の輪が広がっていくのが手に取るように分かるのだ。
車の運転もできるようになったら、高速道路にも挑戦である。
丁度、作曲の仕事を引き受けていたので、徳島の別荘にこもって仕事をしようと思った。
鬼門は、明石大橋である。
さすがに橋を渡るときは緊張した。
広大な景色が見えないように右の車線を走った。
速度は60キロに落とした。
何とか橋を渡り終え、無事別荘に着いたときは、一仕事成し遂げたような気持になり、「やったー」と快哉をあげたものだ。
こうなってくると、病気の間できなかったことに、どんどん挑戦してやろうという気持ちが生まれてきた。