残りの人生をどのように生きますか?

70歳からの選択 和田秀樹

もしも「余命1年」と宣告されたら、何がしたいですか。
私は、お金を集めて映画を撮りたいと思っています。
これは私の考えですが、死ぬときにお金は残さないと決めておいた方がいいと思っています。
とにかく、すべてのお金を使って、したいことをすべてやることです。

もしも、ガンで余命1年ということなら、半年間は旅行に行けるだろうと思います。
抗がん剤などを飲んだら、一気に体はだるくなって旅行どころではなくなるため、そういった治療はもちろん受けません。
私はガン専門医ではありませんが、ガンの手術や化学療法を受けた高齢者の「その後」はたくさん見てきています。
そして、やるべきではなかったと後悔する人が多いのです。
その中で感じるのは、昔の医者の方が、抗がん剤などの治療法が少なかったこともあって、もう治せないと分かった時点で「好きなように生きてください」といっていたということです。

ところが、現在の医者は「少しでも余命を延ばすために、この薬を使ってみますか?」といったことを言ってきます。
家族とすれば、少しでも寿命が延びるならと思いますが、治るわけではないのです。
寿命をわずか数か月延ばすために、残りの人生を苦しいものにしていいのだろうか、ということに疑問を持たざるを得ません。