死生観を持つということ

人は死ぬときに何を後悔するのかより

死ぬということは、束の間の「生」を授かった者が自然の仕組みの世代交代で、この世を去るという現象に他ならないと思うのです。
人間は、大脳が高度に発達したがゆえに、死に対する干渉も思想も限りないですが、生命体としては、他の生物の死と本質的に変わらないということです。

患者さんと接していると、自分が死ぬということをあまり考えたことがない人や、どうしても死を認められない人が増えていると思えてなりません。
若い人は当然ですが、そうでない人も多く、特にお金や権力のある人にこの傾向が強い感を受けるのです。

この50年ほどの間に、急速に経済が発展したこと、日本人の平均寿命が著しく延びたこと、自宅で死を看取る機会が著しく減ったこと、どんな病気でも簡単に死ななくなったことなどが関係しているようです。