死の恐怖とは死を想うことへの恐怖

人は死ぬから幸福になれる 島田裕巳

私たちが死の恐怖を実感するのは、むしろ、ふとした瞬間においてです。
思ってもいないときに、急に怖くなったりします。
だからこそ、眠ろうとして眠れない夜などは、死の恐怖を感じやすいもです。
このように考えていくと、死の恐怖というのは「死を想うことへの恐怖」と言い換えた方がいいのかもしれません。

急に体のどこかに痛みを感じたりすると、これが死に至る病の兆候であったらどうしようかと考え、そのときに死を意識したりするのです。
様々な想いが去来するなかで、突如として、自分にも死が訪れるということが現実味を帯びた出来事として意識されてくるのです。