いのちの大地に立つ 高史明
今にも死にそうな顔をして中学生が訪ねてきたときのことを思い出します。
私は何とか笑わせなければいけないと思い、「死にたいと言っているのはあなたのどこか?」と聞きました。
その子は何を言われているのかわからないという顔をしていましたので、頭をさして言いました。
「ここが死にたいといっているのか?」
すると、当たり前じゃないかとうような表情です。
そこで「でも死んだら頭だけでなく、手も足も全部死んでいくのだから、手にも足の裏にも相談しなさい。特に足の裏にはしっかり相談しなければならない!」と私は言いました。
人間は頭で考えてばかりで、足の裏を見ることはめったにありません。
しかし、これは大事なことです。
中学生はけげんな顔をしていた。
私は「人間は頭だけで生きているのではない。足が大地に立っている。しかもその大地に一番近いのは足裏だ。それを人間は忘れているんだ。だから足が返事をしてくれない限りは、どこまでも大地を踏んで生き続けることが本当の人生だ!」とその子に言いました。
半年ほどしてその子から手紙がありました。
開くと風船がいっぱい書いてあります。
よく見ると、風船と思ったのは足の指でした。
そして「言われたことが少しうなずけてきそうな気がします。言われた通り、これから先もずっと歩き続けていきます!!」とありました。
嬉しい言葉でした。