大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一
83歳、前立腺がんで亡くなった男性のケースです。
老人ホームに入る前から骨への転移認められ、痛みはまったくありませんでしたが、抗男性ホルモン剤の注射を月1回受けていました。
この人は、亡くなる1時間前までニコッと笑っていました。
私がこれまでかかわったガンのお年寄りたちに対し、完全放置を勧めた人はいません。
もっとも、本人は高齢で、ほとんどがボケていますので、判断するのは家族ということになります。
その家族が、もう年も年であるし、これ以上痛い、苦しい思いはさせたくないということで決断したもので、完全放置をきめられたのです。
おかげで、ガンを放置した場合、どんな死に方をするのかをじっくり見せてもらえました。
これで、私の「死ぬのは完全放置のガンに限る」は、確信に変わりました。