70歳からの選択 和田秀樹
これまで、高齢者の病気や薬との付き合い方について述べてきました。
健康診断はしない方がいい、医者のいうことは聞かない方がいい、ガンになっても化学療法はしない方がいい、手術もやめた方がいい・・・。
高齢者はすべての現代医学と縁を切るべきだ、といっているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
すべては、その方が楽に楽しく生きていける方法を選ぶべきだ、と主張しているにすぎません。
ですから、頭が痛いときは頭痛薬を飲んだ方がいいですし、食事が喉を通らなくなっても、やりたいことがあってまだ生きたいと思うなら、胃ろうという手段も排除すべきではないと思うのです。
私自身、心不全になり、最初は歩くこともできなくなるのではないかと思いましたが、利尿剤を飲んでいれば、おしっこは近くなるものの、まあまあ苦しくなく暮らせています。
やりたいことをやるために、本人が楽になるようにするのが医療だと私は信じています。
高齢者は血圧や血糖値の薬を飲むべきではないと述べたのは、頭がぼんやりとして、やりたいことができなくなる可能性が高いからです。
検査データがいくら正常値でも、また正常値になるように薬を飲んでも、本当に長生きできるかは誰にも分かりません。