楽しみを自分で演出する

老いの花道 河合隼雄

年を取ってから趣味が大事だと、早くから碁を習われている人がいました。
ところが、ある所から急に面白くなってしまった。
40歳くらいから一生懸命に碁を打っていて、強くなること、勝つことが重要になっていたので、年を取って碁が弱くなったときに、負けることに腹が立って仕方がないんですね。
知らないうちに、趣味ではなく、仕事のようになっているわけです。
すると、楽しむことができなくなってしまう。
やはり、勝ち負けよりも、楽しんで碁を打つことが大事なんですね。

それから、自分で自分にご褒美をあげる、ほめてあげるというのも楽しみになると思います。
例えば、健康のために歩いていた方が、行って帰ってくるごとに石を1つポンと置いて、それが自分に対するご褒美なんだと喜んでいました。
あるいは、作家の方は原稿がうまく書けると、自分で「ようやったな。今日はこれを飲ませてやるぞ」と上等のワインを開けるそうです。

そんなふうに、いろいろな楽しみを自分で演出する力もいると思いますね。