近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
無駄な治療を受けると、痛みや苦しみに悩まされ続けて、QOLがものすごく悪くなってしまう。
だから、「がんは放置していい」のではなく、「放置がいい」のです。
最期まで、できるだけQOLを高く保っていきたいと思ったら、積極的に放置した方がいいわけです。
俳優の緒形拳さんは、積極的のがんを放置した人の1人です。
肝臓がんでしたが、がんであることを公表せず、「仕事ができなくなるから」と、手術も抗がん剤も拒否しました。
そして遺作となったドラマ「風のカーテン」の撮影を終え、制作発表にも出ました。
その5日後、見舞いに訪れた津川雅彦さんに「治ったら、ウナギ食いに行こうな」と言い、数時間後に息を引き取ったそうです。
その昔、検診なんてなかった頃、自然死や老衰死と言われた人たちの中には、がんで亡くなった人がかなりいたでしょう。
がんが発見されず、無駄な治療を受けなかったから、苦痛も味わわずに、自然に、眠るように死ぬことができたのです。