近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
レントゲン検査は、CTより被ばく線量が少なく、比較的安全です。
ただし、これは病院に設置されている直接撮影装置の場合。
フィルムが放射線に直接反応するため、少ない線量で撮影できるのです。
それに対して、会社や地域に回ってくる胃がん検診車は間接撮影装置です。
レントゲンで写し出された影をカメラで撮影するため、線量がたくさん必要で被ばく線量は直接撮影の数倍に上ります。
しかも画質が悪く、バリウムの泡とポリープの区別がつかないほどです。
胃がん検診は、戦後胃がんで亡くなる人が多かったために、効果があるという確かな証拠もないまま導入されました。
なぜ胃がんが多かったかというと、漬物だけでご飯を食べるような、塩分の非常に多い食生活だったことが、大きな原因だと言われています。
その後日本でも、食生活が改善されて胃がんは減っています。
それなのに、被ばく線量の多い検診車による胃がん検診は、廃止される気配もありません。
そもそも胃は、放射線の作用が多く出る臓器です。
放射線治療でも、食道と同じ線量を胃にかけると、穴が開きます。
そして、被ばくによる発がん率も高い。
そんな胃をレントゲンやCTで検査するのは、危険としか言いようがありません。
また乳房や大腸も、胃と同じくらい放射線に敏感な臓器ですが、盛んに検診が行われています。
マンモグラフィーは1回約3ミリシーベルト、大腸レントゲン検査は、直接撮影で約15ミリシーベルトですから、これらもかなり危険です。