本当の強さ

人生を楽しむ 小林正観

では、受験勉強を教える先生が、生徒にこのように話したらどうなるでしょう。
「自分の思い通りにならないことが、人生にはたくさん待ち受けているんだよ。この学校を受験して、合格したいと思うのはいい。そこに向かって、自分なりにやれるだけのことをやってもいい。でも、思い通りになるかどうかはわからない。思い通りにならなかったときに、いちいちめげる必要はない。落ち込まないでいいし、一喜一憂しなくてもいい。人間は思い通りにならなかったり、挫折したり、辛いことがあったり、そういうこともたくさんあるのだから」

このような、自分が思い通りにならなかったときの心構えを、授業だけでなく話してあげる先生だったら、生徒から慕われるのではないでしょうか。
合格したい学校を目指して勉強するのはいいと思います。
それを夢や希望として一生懸命勉強するのはいいけれど、それが必ずしも思い通りになるとは限りません。
でもそのときに、いちいち落ち込む必要はないのです。
人間には学力という以前に「やさしさ」や「あたたかさ」「思いやり」など、とても大事な価値観が存在します。
そういうものをたくさん持っている人は、社会の中でちゃんと生きていけるもだから、必ずしもいい学校に入って、いい成績でいい会社に入って、ということが全てではありません。

自分の力で自分の人生を全部組み立てよう、というのではなく、ありとあらゆることが自分以外の人たちの力によって成り立っていることに気がつくことです。
人間は失敗がつきもので、思うようにいかないことの方が多い。
でもそういう時に、にこにこと淡々とそれを受け入れながら笑顔で生きていけるか、それが人間力なんです。

それが本当の強さなんです。