本当にいいものは目の前にある

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

病気になったことで、これまで表面化していなかった人間関係のひずみが露わになってくることがあります。
たとえば「夫がそばにいるだけで苦痛」「もう顔を見るのも嫌」「30分間、一緒にいるのさえ耐えられない」と訴える奥さんが全体の3割にものぼります。

私からすると、日本の男性は心が冷たい。
特に家族にやさしくないように思えます。
きっと人生の優先順位が狂っているからでしょう。
これまでは会社や仕事が優先事項だった。
妻や家族のことは2番目以降。
病気になるとそれが目立ってくる。

元気な時は問題に気がつきにくいものです。
そもそも「人生で本当に大事なことは何か?」と考えることがない。
病気になったり、大きな困難に直面したときに初めて「自分にとって何が一番大切か」を考え始める。

多くの人がどこか遠く、まるで絶対に手が届かない北極星を追い求めています。
本当にいいものは遠くには見つかりません。
遠くにばかり手を伸ばすのはやめて、自分の足元を懐中電灯で照らしてみましょう。
遠くにいて見えない人を思うよりも、目の前でいつも寄り添ってくれる人を大切にしましょう。

遠くばかり思うから、仕事とか会社とか地位とか名誉ばかりに目がむいてしまうのです。
もっと目の前にいる人に関心を向けてみてください。
今まで無視してきた身近なところに関心を持つと関係が変わります。
本当にいいものを見つけた人は、人生が豊かになります。
目の前の人を大切に想い、見えない人にはもっと無頓着でいいんです。
本当にいいものは目の前にあります。