最期はどこで・・

なんとめでたいご臨終 小笠原文雄

私は、数百人の見取りをする中で「死ぬときは苦しいのが当たり前」、ご遺族にかける言葉は「ご愁傷様」、そう思っていました。
当時は、家で苦しみ始めたら救急車を呼んで病院へという考え方から、病院の使命である「延命治療」を受け、苦しんで亡くなる人が多かったのです。
しかし、最後まで趣味の釣りを楽しみ、奥さんと笑顔で暮らした丹羽さんの穏やかな旅立ちは、私の医療に対する考え方を変えました。

私自身、在宅医療を行う中で、「笑顔でピース」をするなんて考えもしませんでした。
今は違います。
それは長年の在宅ホスピス緩和ケアの経験で、たくさんの奇跡に出会えたからです。
在宅とは暮らしている処。
ホスピスとは、いのちを見つめ、生き方や死に方、見取りの在り方を考えること。
緩和とは、痛みや苦しみを和らげること。
ケアとは、人と人がかかわり、温かいものが生まれ、生きる希望が湧いて力がみなぎることです。

現在、75%の人が病院で死を迎えています。
しかし、実際は介護保険制度ができたことでや在宅医療の質の向上によって、一人暮らしの末期がんのがん患者さんでも、最期まで家にいたいという願いは叶います。