昔の先生

がばいばあちゃんの口癖 島田洋七

私が高校生のとき、進路指導の三者面談の席でも、先生は結構いいかげんなことを言っていました。
「どこの大学に行けばいいんですか?」と、かあちゃんがきいたら、目の前で
「無理!」と、即座に返答がありました。早かったですね。
「どこか、ありますよね?」
「無理です!
「大学にもいろいろレベルがあるでしょう。誰でも入れそうな学校もあるんじゃないですか?」
「無理です!」
「じゃあ、どこに行ったらいいんですか?」
「自動車学校に行きなさい」
うちの親もアホだったんで「それ、どこにあるんですか?」と聞くんですね。
「全国にありますから」
「何年間、通うんですか」
「2,3週間ですかね」
「ああ、そうですか。それは、すごいですね! 飛び級ですか?」
飛び級って、2,3週間の飛び級なんてあるわけないやん。かあちゃんも、そんな言葉だけは知っていたんです。
「昭広、よかったなあ。ところで、先生、どれくらいかかるんですか?」
「いや、3万から4万あれば充分です」
それで、かあちゃんはホッとしていました。

佐賀は当時、ものすごい田舎でしたが、いい先生は多かったんです。
ぎゅうちゃんという社会の先生は、戦争から帰ってきて仕事がないから教員になったといっていました。
「それで、先生何教えんの?」
「だから俺も今、習いながら教えてる。君らと一緒や」
「先生も知らんの?」
「おお、知らんよ。だから、一緒に勉強しよ」と言われました。
だから、人気がありました。