捉われない、拘らない

「死に方」は「生き方」 中村仁一

清潔、不潔ということも、ものそれ自身というよりも、私たちの受け取り方次第という面もあるように思います。
たとえば、病院の職員でもビールやジュースをレジャーコップで飲めても、未使用の尿コップで飲める人は、そうたくさんはいないのです。
小便がちょっとでもかかったコップは、たとえ滅菌消毒してあっても、とても使う気になれませんが、手にかかった場合などは、ちょっと洗っただけで食べ物を平気でつまめるのです。
いずれにしても、何かにこだわって不自由になって、苦を大きくしているのだけは確かです。
捉われない、拘らないという視点を持てば、日々が楽に過ごせるのです。

病気はとかくマイナスに受け取られがちですが、私は決してそうとばかりは言えないと思います。
病気に患って初めてわかる世界があり、今まで見えなかったものが見えてくるという、患えばこその効用もあると思うのです。