指導に悩む

ココロの架け橋 中野敏治

若かったころ、学校に心が向かないほど、指導に苦しんだことがありました。
学校全体の雰囲気が落ちつかなくなり、クラスが乱れ始め、担任や教師が何を言っても生徒たちに対し指導が入らない状態になってしまったのです。
どう声をかければいいのか、どう指導すればいいのか,指導が入らないだけでなく、指導に対して反抗さえしてくる生徒たち。
教室では紙飛行機が飛ばされ、丸められた紙が床に捨てられている状態でした。
荒れている生徒が数人であっても、クラスのムード、学校のムードは悪くなるばかりです。

そんな状況の中、学級で懇談会があり、保護者の方から様々な意見をいただきました。
その中で、ある保護者からこんな質問が出たのです。
「先生、生徒が荒れる原因は何ですか?」
子どもが荒れる、乱れる。
その原因は何だろう。
物事には原因があって、結果があります。
だからこそ、一般的には対策が立てられます。
しかし、結んだ糸のようになっている子どもたちの心は、子どもたち自身も原因が分からない現状です。

荒れている生徒に聞いたことがあります。
「お前は何が不満なんだ?」
生徒の答えは「真面目にしているのが嫌になっただけだ」でした。
私の想像を超えた答えでした。
何かに不満があり、何かにぶつかっていくというだけではないのです。
複雑な子どもたちの心に直面した瞬間でした。
そして、ただ、ただ、子どもたちの心に寄り添い、物事の善悪や人に迷惑をかけないことに気づかせてあげられるかどうか、このことが大切なことに気づきました。
懇談会では、保護者も何かしなければという気持ちを伝えてくれました。
懇談会は、前向きな意見が出て終わりました。