私はガンで死にたい 小野寺時夫
子宮頸がんの切除手術と放射線治療を受けて2年後に再発した女性Kさん(63歳)が、がん専門病院で「抗がん剤は効かないと思うので、緩和医療を受けることを勧めます」と言われました。
諦めきれないKさんは、テレビ番組で進行がんに対し抗がん剤の動脈注射に加え、東洋医学や免疫療法を行う病院があることを知り、さっそくその病院に入院しました。
治療中、ひどい吐き気と不快感が続き、2か月で体重が20キロも減りました。
夫には励まされるものの、耐えられなくなったKさんが「長生きしなくてもいいから、こんな苦しい想いをしないで死ねる所に行きたい」と望みホスピスに」来たのです。
抗がん剤治療から解放されたKさんは、吐き気が取れ、急に食欲も増し体重が増加しました。
元板前だった夫は、泊まり込んで介護し、手の込んだ料理を作ったり、方々のレストランに何度もつれて行ったりしました。
回診するたび、Kさんは「痛みはないし、食事はおいしいし、看護師さんやボランティアさんみんなが親切にしてくれて本当に幸せです。いつ死んでも悔いがありません」と繰り返しました。
そして2か月半後、ソフトクリーム1個を全部食べた翌日に亡くなりました。