近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
勘三郎さんは、7月24日、入院前日にはゴルフコンペを主催し、準優勝します。
そして翌日25日入院、27日手術。
手術は胸とお腹を切り開いて食道をすべて切り取り、胃袋を引き上げて食道の代わりをするというもの。
リンパ節は121個も切り取られました。
11時間に及ぶ大手術でしたが、手術の翌日には集中治療の中を20メートルほど歩き、勘三郎さんは復帰への強い意欲を示します。
ところが5日後には、吐いたものが気管に入ってしまい肺炎を発症。
「肺が燃えた」と、医者が言うほどの状態になってしまいます。
肺に入った胆汁や膵液には、強力な消化作用がありますから、それで肺がやられてしまったのでしょう。
たかじんさんもそうですが、勘三郎さんも手術によって呑み込みがうまくいかなくなり、吐いたものを誤嚥してしまったのです。
胃を食道代わりにしているのですから、当然胃の中のものが逆流しやすくなります。
しかも、手術によって神経がズタズタに傷ついているため、ものを飲み込むときに普通なら起こる反射が起こりにくい。
翌日、人工呼吸器をつけましたが肺は回復しません。
結局、がん研有明病院で1週間過ごした後、ようやく呼吸器専門の医者がいる東京女子医大病院に転院します。
しかし、すでに肺はひどい状態だったようです。
勘三郎さんは人工肺を装着するなど、最新の治療が行われましたが、肺は回復せず、12月5日に亡くなりました。
享年57という若さでした。
普通がんと診断されても、自分の足で歩いて病院に行ける人が、たった3~4か月で亡くなることはありません。
まして、ゴルフコンペで準優勝するほど元気だった人が、たった4か月で亡くなることなどあり得ないのです。
がん治療ワールドの医者たちは、治療をしなければすぐに死んでしまうようなことを言います。
そして外科医は手術を、抗がん専門医は抗がん剤治療を勧めます。
でも、それが最善の方法ではないし、すぐに死ぬこともない。
勘三郎さんにとって最善の方法は、何もせずに放置することでした。
食道がんが大きくなるスピードは、一般的に半年から1年で2倍になるかどうかですから、すぐにどうということはないのです。