感謝される

お金の賢い減らし方 大江英樹

もう1つ、承認欲求を満たしてくれる気持ちが「感謝される」ということです。
人が何かをするときに、一番モチベーションが上がるのは「人の役に立っている」ということが感じられる時です。
まさに、定年で引退した後に最も強く生きがいを感じるのは、自分が世の中で誰かの役に立っているということが感じられる時でしょう。

仮に誰からも感謝されなくても、自分が人のためになることをやったということの満足感はとても大きいものです。
人から「うらやましがられる」ために何かをするというのは、どことなく負のエネルギーのような気がしますが、「誰かの役に立つ」ためにすることは大きな正のエネルギーだと思います。
それは誰かに褒めてもらったり、うらやましいと思ってもらったりする承認欲求とは異なり、人が介在せずとも幸福感を得ることができるものだからです。

他人の評価ではなく、自分の行動が幸福感をもたらすのであれば、それはまさに「生のエネルギーを」であるに違いありません。
一口に「幸福感」といっても、それほど単純なものではなく、人によってさまざまであることが分かります。
ただ大事なことは、あくまで他人との比較ではなく、自分の尺度や感情を優先することを忘れてはならないということだと思います。