感情の老化がこわい

70歳からの選択 和田秀樹

老化にもさまざまな種類があります。
老眼、物忘れ、耳が遠くなる、腰や膝が痛くなる、こうした肉体の衰えから老化を自覚することが多いと思います。
しかし、このような肉体の老化よりも、見逃されがちな「感情の老化」の方が、実は恐ろしいのです。
感情の老化が生じると、気力や意欲が衰退し、新しいことへの興味がなくなっていきます。

若いころは流行に敏感でおしゃれだった人が、すっかりファッションに興味を失ってしまった、あれほどアクティブだった人が定年後にはすっかり引きこもりになって、新しい人間関係をつくることも億劫になった。
こうしたことは、感情の老化が関係してきます。
これがひどくなると、うつ病の原因となることもあります。

感情の老化が起こる原因として、次の4つが関係していると考えています。
前頭葉の萎縮・性ホルモンバランスの変調・セロトニンの減少・動脈硬化です。