明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫
心も体も元気な時は隙間のない人生を送っています。
何らかの理由でそのバランスが崩れると心に隙間ができます。
隙間ができても光がないので、心の中は真っ暗闇です。
闇の中で人は進むべき道を失い、孤独になって、もうどうしたらよいのかわからなくなります。
そこに「言葉の力」で光を差してあげるのが、がん哲学外来の役目です。
面談を終えると、多くの人が深い井戸の水を自分で汲み上げるがごとく、すっきりした表情に変わります。
きっと心に光が差し込み始めたのでしょう。
どんな言葉を贈るかは、その人の風貌を見て、その人に会った言葉を脳内のストックからどんどん引き出して決めます。
たとえば「明日この世を去るとしても今日の花に水をやる」
「病気であっても病人ではない」
「大体のことは放っておけばいい」などです。
患者さんの悩みを解消するには、話を聞いてあげるだけでは足りません。
患者さんの頭の中に悩まないシステムを作ってあげる必要があります。
そのきっかけになってくれるのがこれらの言葉たちです。