近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠
ロック歌手の忌野清志郎さんは、2006年7月に咽頭がんを発症し、約3年後の09年5月に亡くなりました。
58歳でした。
清志郎さんは、06年7月自身の公式ウエブサイトで、がんで入院することを発表しました。
医者は手術を勧めましたが、手術をすると声帯を失い、声が出なくなってしまうため、清志郎さんはこれを拒否します。
そして、放射線と抗がん剤治療を受けますが、放射線もよくないと聞いてやめ、さらに抗がん剤もやめます。
清志郎さんは、早い段階で治療をやめて本当に良かったと僕は思います。
音楽が人生そのものであり、歌うことが生きることだった清志郎さんにとって、声を失う手術は論外です。
また、放射線と抗がん剤の併用もよくありません。
放射線をかけるだけなら障害は出にくいのですが、抗がん剤を併用すると放射線の作用が強まります。
そのため、喉の筋肉が硬くなってしまい、声が出にくくなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりすることがあるのです。
清志郎さんは、自転車に乗ることで体力を回復させ、07年1月にはライブ活動を再開します。
そして08年2月には、日本武道館で完全復活祭を開催しました。
しかし、08年7月には、左腸骨への転移が発覚。
通院で放射線治療を受けたそうですが、楽曲の提供やレコーディングへの参加、ライブへの飛び入りなど、音楽活動は続けました。
この時も治療ありきではなく、音楽をやり続けるにはどうすればいいかを考え、行動したのでしょう。、