当たり前の話し

関大徹 曹洞宗住職の書より

人間本来、自由なのである。
誰も、自分を縛り付けているものはないのである。
縛り付けているものがあるとすれば、それは自分自身かもしれず、自分で自分を閉じ込めているのである。

大病を患ったことがある。
20年ばかり前である。
ガンであった。
医師から、死の宣告を受けた。
正直言って「ははぁ、死ぬのか・・」と思った。
ところが良医を得、手術のおかげで命は取り留めた。
「おめでとう!」と言ってくれた人もあったが、こちらは腹の中で「何がめでたいものか!」と思っている。
それはそうではないか。
ガンにかかって奇跡的に命を得たからといって、不老長寿の保証を得たわけではない。
何年か、何十年か、生きながらえるだけであり、死から逃れたわけではない。
死ぬことは、確実に死ぬのである。
当たり前の話しである。