幸せなのは、幸せになろうと努力しているとき

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

自由があり過ぎるためにかえって時間をうまく使えずに、とくに楽しいとも思わずに日々を過ごす人も多い。
たまの休みならば体をじっくり休めるために、のんびり家で過ごすのも良い。
2~3日のまとまった休みだと、自然の美しいところへ旅行に行くのも良いかもしれない。
しかし、これが1週間、2週間という長い間、何もすることがないとなれば、どうだろう。
家でゴロゴロするのにも飽きてしまって退屈だ。
さりとて、どこかへ行くのも億劫になってしまった・・・。
それこそ、趣味や自分のやりたいことがない人は、たちまち時間を持て余してしまうに違いない。

同じような話だが、幸せを見つけようとやっきになって努力をしているうちが一番幸せだともいう。
希望の大学に入るために、遊びや趣味を我慢して一心不乱に勉強する。
その時は確かに苦しいし、放り出したくなる時もある。
その苦しさや、やめてしまいたい気持ちを「大学に合格すれば、いくらでも遊べる」「今を乗り切れば自分の夢が叶う」という意思の力で打ち消してがんばる。
その結果、合格して夢が叶った瞬間は、まさに天にも昇るうれしさだ。
けれども、そんな浮かれた気持ちはいつまでも続かない。
あれほど夢にまで見た大学だったのに、実際に入ってみると理想とは全く違っていたということもありうる。

受験勉強から解放されて堂々と遊べるようになったが、いざ遊び回ってみてもそれほど楽しいとは思えない。
むしろ、睡眠時間や遊びを我慢して、勉強していたときの方が充実していて、懐かしく思い出したりするものだ。
宝探しは、宝を見つけ、それを手にする瞬間までが楽しい。
夢を掴んだ瞬間、夢は消えてしまい目標を失ってしまう。