小児の在宅医療のできる医師は少ない

なんとめでたいご臨終 小笠原文雄 

重度のリー脳症である愛ちゃんは、日常生活に介助が必要ですが、体調のいい時は人工呼吸器をはずせます。
また、不随運動といって寝かせていても、どんどん動いていくので押さえていないといけません。
座るときも普通の椅子ではずり落ちてしまうので、身体をしっかりと支えられる特性の椅子が必要です。

訪問治療に行くと、母親が愛ちゃんの足を押さえながら
「テレビから子どもの声が聴こえると、じっと見ているんですよね。だからいつも、子ども番組をつけているんです」
というので、愛ちゃんを見ると、とても清らかな目をして、手足を動かしながらじっとテレビを見ています。
愛ちゃんは、言葉は話せませんが、目は見えるし、耳も聞こえます。
急変したときは、母親の希望通り、救急車で病院へ行ったりと入退院を繰り返すこともありましたが、愛ちゃんは9歳で退院してから6年間自宅で暮らし、15歳で亡くなりました。

姉の沙奈ちゃんは、21歳になった今も元気で暮らしています。
でも妹の愛ちゃんがいなくなったことに気付いているのでしょう。
愛ちゃんが亡くなってから体調を崩しやすくなってしまいました。